在りし日の君に宛てた手紙
このころの君は一体どんなふうに世界を観ていたんだろう。
まだ父親とも一緒に暮らしているころ。
父母と三人で過ごすことは、もう今の僕にとって全く未知の世界になっているよ。
そういえば、小学生になるまでは目がクリっとしてて可愛いなんて言われていたっけか。
もうすぐ、父親が自分の元から離れていき、母親とふたりで暮らすことになる。
ただ君はそんなにショックを受けていないだろう。まだそのことを理解するには君はまだ幼い。
君はこれからの人生において、孤独と無力感を味わう生活を送っていくことになる。
母親と君と、もう一人の男と三人で生活が始まる。
環境に適応することが得意な君はすぐに馴染むことだろう。
しかし、それが仇となってしまう日々がやってくる。
その男性と母親に喧嘩の耐えない日々が訪れる。
いきなり鳴り響く地鳴りのような音に身をすくめながら、父親から買ってもらったゲームの世界に入り込み、耐え抜く日々。
足音がここえるたびに身をすくめて、いつも気を張って様子を伺う。
殴られることに耐えきれずたちむかったけれど、その当時の君は大の大人に到底敵うわけもなく。
自分の力では何も変えられない
そうした諦めの感情を心の奥深くに刻み込んだ。
環境に振り回されることに子どもながらに頑張って適応し、自分で何か変えようと思っても、力によってねじ伏せられる。
そんな無力を否定したくて、ずっと何かにつけてできる自分であり続けようとしてきたよ。
そして、ずっと我慢してきた結果、自分の悩みを人に話すなんてことは一切しなくなり、まるで君の好きなグリッドマンというヒーローのように、弱い自分を見せたがらなくなる。
今の君にとっては全く予想だにしない出来事の話。
そして大人になったある日
無力感×男性恐怖×抱え込み癖が災いして
突然うつ・引きこもりになる。
ずっと家にいてばかりで笑うこともほぼなくなってしまうんだ。
さて、ここまではちょっと暗いお話になったけれど、ちゃんとそれを乗り越えるから安心してほしい。
その前に、君はうつ・ひきこもりになる前に、ある一人の女性に手を差し伸べることになる。
これだけは絶対に忘れないでほしい。
君はその女性によって人生を大きく救われることになる。
死を願っていた君に対して彼女は大きな転機をもたらしてくれる。
彼女の引き合わせでNoh Jesuという人に出会う。
今まで男性に対しては憎しみや恐い思いを抱いていた君が、初めて心の内側へのコンタクトを感じられた男性だ。
その彼によって、できる自分では到達できなかった、あまりにすごすぎる自分自身との出会いをすることになる。
すこし難しい話になるかもしれないけど、
君という人間は実在しないということを悟り知る。
実在しないにも関わらず、今までの君が味わってきたくるしみやかなしみを自らが存在させ
今ここの自分をつくり、さも実在しているかのように認識している。
存在しないのに存在させる君自身があまりにすごいんだということを認識する。
君の背中に取り憑いて離れなかった呪縛からようやく放たれたときに、無限の可能性であることを自覚する。
その境地に至るために、僕はつらく涙で溢れた経験をせざるをえなかった。
彼は言う、それが愛なんだと。
君が味わう孤独や無力感も全てが愛だ。
君に伝える僕自身も、それを確信するには時間がかかったけどね。
苦痛の中、楽しさを分かち合うことができても、苦労やうらみ、繊細な心は共有することができなかった。
それももう今となってはむかしばなし。
僕は今、ずっと君がわかってほしいと願っていた心音を分かち合える関係性を作ることができるようになってきた。
だからどんだけ辛くたっても、これだけは覚えておいてほしい。
君は、幸せになれる。
sho nakamura